(2022.05.06, 13, 20) 教職大学院「学校経営の理論と実践」

 教職大学院「学校経営の理論と実践」では、3回主担当の授業を持っている。「カリキュラム・マネジメント」が主たるテーマであるが、以下の内容を受講生と学習していった。

 3  5/6  教育課程・カリキュラムをめぐる制度的基盤
 第
4回  5/13  学校組織とカリキュラムマネジメント
 第
5回  5/20  学校におけるカリキュラムの開発・マネジメント

 第3回では、「教育課程」と「カリキュラム」の定義を紐解いた上で、「隠れたカリキュラム」について現職院生は勤務校(これまでの勤務校含む)、そしてストレートマスターについては自身が通っていた学校について複数の観点から記述してもらった。
 そして、日本における「教育課程」と「カリキュラム」の変遷を学習指導要領の改訂を軸に解説していった。戦後間もない頃の「カリキュラムの構成」から1958年以降の学習指導要領の法的拘束力強化に伴う「教育課程の編成」が学校現場を大きく規定していった。1975年の「カリキュラム開発に関する国際セミナー」によって「カリキュラム開発」が概念として紹介されるが、研究者や一部実践者に限定される形が続いていた。
 そのような背景から、「カリキュラム開発」には非常に大きな問題を抱えており、教師のマインド、学習経験、組織的アプローチ、行政からの支援のいずれも不足している現状を確認した。

 第4回では、「カリキュラム・マネジメント」の変遷を紐解いた。2000年頃の「カリキュラムマネジメント」の登場から、2008年学習指導要領改訂の議論では取り上げられたにもかかわらず、2008年の改訂にあたっては総合的な学習の時間の解説に一部紹介されるに留まった。そこから、2017年の学習指導要領改訂では、重要なキーワードの1つとなり、学校現場でも意識化されるようになった。
 その中で、「教科等横断的な視点」が盛り込まれたことを確認するため、ある学校で作成された各教科等の学習を可視化できるマップを共有し、現職院生とストレートマスターで可能性と課題についてディスカッションしてもらった。
 また、カリキュラム・マネジメントとして「PDCAサイクル」の重要性が指摘されているが、田村知子ほか(2016)のカリキュラム・マネジメントのサイクルを紹介し、評価計画が肝となることを確認した。グループワークでは、多様な教員がいる学校で足並みを揃えるための学校全体で進める評価計画を検討してもらった。

 第5回では、田村知子先生の「カリキュラム・マネジメントモデル」における「リーダー」「組織構造」「学校文化」を考えるために、まず総合的な学習の時間の黎明期の実践を読みグループで3つの視点で検討してもらった。優れたリーダーシップを発揮し、充実した実践が展開される可能性を確認しつつも、日本では異動があるため、学校文化として確立する必要がある。そこで私も共同研究として携わった「研究開発学校におけるカリキュラム開発の経験」の3校の事例を紐解き、現状で実現可能な点と現状では実現困難な点をグループで検討してもらった。

 第5回のリフレクションコメントでは、ある現職院生から地域の課題について疑問を投げかけて頂いた。行政、学校全体で改めて「カリキュラム・マネジメント」として求められる要件を確認できたならば、問題解決に向けた議論ができるかもしれない。しかし、言葉はあっても、それを十分理解できていない現状もある。今回の3回の授業のような形でじっくり学ぶ機会が必要だと改めて考えさせられた。

カテゴリー: 学部・専攻教育関連情報, 研修・講習関連, 研究関連情報 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください