2023年度のふり返りをまとめておきたい。
最も大きかったことは、教務・学生支援委員会委員長として、昨年度議論してきた学部のディプロマ・ポリシー(DP)、カリキュラム・ポリシー(CP)を教授会で議決することができ、来年度からの新しい方針を決めることができたことである。それに加え、全学のカリキュラム改革に合わせて、諸規則の改正、履修の手引の改訂等、諸々大きな業務をクリアできたことも挙げられるだろう。
■学内業務
今年度は、会議の連続といっても過言ではなかった(公表できるものに限る)。
※は毎月開催されるものであり、その他は年に数回もしくはある時期に限定のものである。
・昨年度と継続した会議
※主任会、※教授会、※専攻会議(後二者は大半の教員が関わる)
・教務委員長としての会議
(学部)※教務・学生支援委員会(事前打ち合わせ有)
教育学部で学ぶこと運営委員会、教職実践演習運営委員会
(全学)※教育改善小委員会、教職課程小委員会、全学共通教育小委員会
・学生委員長としての会議(全学)※学生支援委員会、学生相談室連絡会議
なお、教務・学生支援委員会としては、新入生オリエンテーションの運営、在学生ガイダンスの運営(1年生のみ対面実施、その他はオンデマンド)、オープンキャンパスの運営を担ってきた。
また、学生委員長は、入試に関する警備責任者でもあるため、学部・大学院で実施される全ての入試で出動することになった(学部4回、大学院2回)。
教務・学生支援委員会委員長として、冒頭で述べた通り、DP・CPの策定、諸規則の改正、履修の手引の改訂等、かなりの時間を費やして対応してきた。とりわけ、DP・CPに関わって、昨年度から議論してきた将来構想委員会のカリキュラムワーキンググループについては、色々助言を頂きながらよりよい方向につながる議論ができた。
・ICT活用ワーキンググループ グループリーダー
・教育実習検討ワーキンググループ
昨年度から継続してきた上記の役割についても担ってきた。
副学部長の任期は2年で今年度が一区切りであったが、来年度からの新しいカリキュラムの具現化のため、継続して教務・学生支援担当副学部長を担うことになっている。なお、学生委員長については、今年度で任期を終えることになった。
■教育面
・授業:例年通り、多くの科目を担当しているが、ほぼ面接授業で行う通常のスタイルに戻った印象である。ただ、資料配付等については、Moodleを活用する形が標準のスタイルとはなっている。それでも特に前期は、授業に忙殺される傾向にあるため、改善の方向性を考えていかねばならない。
・海外研修:昨年度に引き続き、ヴァージニア・コモンウェルス大学(VCU)研修のコーディネートをサブとして担った。通算3回目の担当となる。今年度は、前期入試と後期入試の合間を縫っての担当だったので、体調面には意識しながら臨んでいた(2022年度プログラムでは悪天候等で体調を崩してしまったため)。
Spring breakのため、最初の1週間でRichmondでのプログラム(VCUと学校訪問)、もう一週間をWashington, D.C.で過ごすという流れであったが、大きなトラブルもなく過ごせたと言えるだろう。
2022年度プログラムと同様に、ディスカッションの機会が持ちにくいのはやはり課題であったとは感じている。ただ、そういうものだという割り切りも一方で持ちつつある(できれば色々できた方がよいとは感じている)。
・学生指導:今年度は、ミャンマーからの海外研修生を受け入れ、一年間ゼミや授業、学校訪問等で学び合ってきた。ゼミ生も授業のサポートなどで協力してくれた点も大きかった。
卒論指導を担当したゼミ生3人とも、紆余曲折があったものの、最終的には充実した内容に卒論をまとめることができた。
また、第10期のゼミ生が教職大学院に進学してくれ、JSET秋季全国大会の参加、日本教育方法学会での学会発表も行うことができた。教育実習先でも活躍してくれていて、先方からも大変評価して頂いている。ただ、思うように時間も取れなかったことから、もう少し色々なことができたのではないかとも感じている。
これについては、プロジェクトに関することも同様で、今年度はそれを立ち上げることができなかった。ゼミ生のプログラミングに関する卒業研究では、ゼミとして様々な協働を行うことができたが、ここも課題になったところである。
来年度は、教職大学院にゼミが進学してくれたことで、M2、M1を見る体制となる。真13期生については来年度に決まることになることも例年とは異なる状況である。色々と大変な1年であったので、リスタートが必要である。
■研究・対外活動
研究に関しては、個人的に停滞してきたというのが実際であった。
JSET重点活動領域に関しては、9月の日本教育工学会秋季大会の重点活動領域セッションで第1期としての締めくくりとなった。その後、第1期メンバーで、特集号の展望論文を執筆することができ、年度内に公刊することができた。益川先生@聖心女子大学には、全面的にサポートしてもらったので特に感謝している。
昨年度、日本科学教育学会年会のシンポジウムで登壇した内容を、科学教育研究に招待解説論文として「科学教育におけるプロジェクト・ベース学習と学習評価」を掲載して頂いた。
また、先に述べたDPの議論については、将来構想委員会のカリキュラムワーキンググループのメンバーの共同研究として、島根大学教育学部紀要に「教員養成段階で育成を目指す資質能力の明確化 : 島根大学教育学部における議論を踏まえて」を掲載することができた。
一方、研究発表としては、日本教師教育学会の発表に留まり、宇宙教育に関する論文執筆も遅れてしまっている。また、自身が代表を務める科研については、さらに1年間の期間延長を申請した。オンラインプログラムの構築についてはある程度進められたが、それの評価に関して残り1年間で進めるためである。また、新規科研についても、情報収集が主になってしまい、新しく大きな動きを作ることができなかった。
対外活動としては、附属義務教育学校の未来創造科と附属幼稚園の共同研究者が中心となった。今年度は、附属学校園全体で未来創造科研修会を開催することとなり、小学校1年生と附属幼稚園をつなぐ役割を担った。未来創造科の授業公開では、講評・指導助言を担い、他の参観者に対してこれまでの取り組みを踏まえてポイントを整理させて頂いた。
昨年度に引き続き、附属以外の地域や学校との関わりがなかったので、若干寂しさを感じる1年ではあった。
教員免許状更新講習の後継事業として、「しまだい学校教員研修」が今年度からスタートした。教員免許状更新講習として開講してきた「教育評価の新たな地平」の4コマと新規開講となる「令和の日本型学校教育の実現を目指した探究学習指導・STEAM教育のノウハウ(基礎編)」の1コマを担当した。前者については、少数であったこと、参加者のニーズとマッチしなかったこと等、課題点が非常に大きかった。後者については、御園先生、松尾先生とそれぞれ1コマずつ担当したことで、よい意味でミックスできた内容になっていただろう。
認定講習については、今年度は、「教育課程の意義及び編成の方法」の認定講習を2日間担当した。カリキュラム・マネジメントを軸に色々な視点で展開できたことで充実感を感じることができた。
学内の事業ではあるが、対外的なものとして、今年度文部科学省「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」について、「バランスの取れた資質能⼒を向上する教師の学びのモデルの確⽴―地⽅圏に所在する⼤学による研修機会の創出―」というテーマで受託研究を進めることになった。アンケート調査に基づき分析・報告を行う「調査班」のメンバーとして取り組みを進めてきた。データ収集後からは、ミーティングも複数行いながら検討・協議ができたので、やはり研究的な活動に従事することが重要なのだと実感した取り組みだった。