『教師のレジリエンスを高めるフレームワーク』について

 2020年9月に北大路書房より『教師のレジリエンスを高めるフレームワーク』を公刊した。
 本書は、科学研究費補助金基盤研究(C) 「日本における教師のレジリエンス形成に 寄与するプログラムの開発」(研究代表者:深見俊崇・課題番号: 17K01127) で取り組んできた共同研究の取り組みから生まれたものである。


 教師のレジリエンス研究については、私も翻訳に携わった『教師と学校のレジリエンス: 子どもの学びを支えるチーム力』(北大路書房)が日本において初めてそれを世に問うたものとなる。この中では、心理学におけるレジリエンス、そして教師のレジリエンスに関する諸研究のレビューや教師のレジリエンスを考えるための職場や関係性のあり方を提起されており、教師のレジリエンスを考えるための指針となる一書となるだろう。
 この本の原著が出された当時から研究の進展として、レジリエンスを形成するための具体的な学習にシフトしつつある。とりわけ、オーストラリアのマンスフィールド氏らが開発した教師のレジリエンスを形成するためのオンライン学習プログラム”BRiTE”は、海外の研究者からも着目されてきた。この内容が英語であること、オンラインの学習コンテンツよりも、書籍の方が日本ではアプローチがしやすいこと等から、書籍化の方向で検討を進めてきた。
 本書の執筆にあたって、BRiTEの内容をそのまま翻訳するのではなく、構成要素である”B”(レジリエンスの形成)、”R”(関係性)、”i”(ウェルビーイング)、”T”(主体性を保つこと)、”E”(感情)のフレームワークを基盤としながら、日本の学校現場での実態に即した内容として0ベースで編み直すことを心がけた。もちろん、BRiTEの方向性と日本のそれとのギャップがある場合については、日本の発想にはない視点も盛り込んでいる。
 教師のレジリエンスを形成するためには、具体的にどのような内容を学習すべきなのか、どのようなアクションを起こすべきなのかを、本書の内容とワークから学べるようになっている。教員養成段階でも、現場で働く教師にとっても是非手に取って読んで頂きたい。

 出版を記念して、Zoom等でのアクセスも容易になりつつあるため、以下の部数をまとめて購入して頂いた方に講演料なしでオンラインでの解説もしくはディスカッションベースのプログラムを実施していきたい。感染拡大地域でなければ現地で行うことも可能であるが、その際には、交通費・宿泊費は依頼者の負担となる。

・15部以上 1時間程度の本書の解説と質疑応答
・30部以上 2時間~2時間半程度、本書の解説を交えつつ、グループワークで学ぶ
 グループワークについては、昨年度の科研で取り組んできたレジリエンス形成プログラムをベースとなる。

 私が窓口となるが、書籍の販売については北大路書房と直接行う形になる(著者からの購入となるため一定の著者割引を含む)。参加者に対する書籍の受け渡し、Zoom等の設定、グループの構成については、依頼主にお任せする形になることも合わせてご確認頂きたい。

 本件についての問い合わせは、以下のフォームから。

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    『パワフル・ラーニング』発売開始

     5/26に編訳本『パワフル・ラーニング』が一般発売された。原著に出会ってから、大変素晴らしい本で何としても翻訳したいと思っていた。
    2015年に出版社との交渉を開始し、2016年度約1年間をかけて共訳者と共に翻訳を進めてようやく実を結んだものである。
     オビにある「表層的で形骸化されたアクティブ・ラーニングを超えて」はあえて付けてもらったものだ。世に飛び交う「アクティブ・ラーニング」を批判的に検討する鏡となる一書であることは間違いない。

     学習科学の知見等、数百の先行研究に基づいて指導方略、カリキュラム、評価のあるべき姿を描き出している。日本における「アクティブ・ラーニング」に関する文献でこれだけの先行研究を紐解いた文献は皆無に等しいだろう。
     特に今の「アクティブ・ラーニング」が指導法や形態のレベルの議論が中心になっている中、本書の核は「学問」(教科)の本質から考えることがテーマとなっている。
     とりわけ「数学教育」や「科学教育」が国際的にいかなる観点で論じられているかは、日本における教科教育の問題点を浮き彫りにするものであるだろう。

     学習指導要領改訂において「社会に開かれた」というキーワードが掲げられているが、本書の核は「真正性」である。「社会に開かれた」というテーマを考えるにあたって、「真正の活動」「真正の学習」「真正の評価」とは何かがわかる具体的な事例が本書にはふんだんに盛り込まれている。
     「真正性」は日本でもこれまで紹介されてきた言葉であるが、本書を読めば次元が違うものだと分かるはずだ。日本の「教室」や「授業」で取り上げられてきた「文章題レベル」の「現実」ではなく、例えば科学を学ぶためには「科学者」にならねばならないことを本書は示している。
     それに関する探究ベースの具体例がいくつも紹介されている。日本でもプロジェクトベースの実践があるが、本書で実践されているレベルのそれはどこまであるだろうか。

     『21世紀型スキル』等類書もあるが、本書の優れた点は、児童・生徒の実践の具体が見えることである。本書は、Edutopiaと連動したものであり、実践の様子を動画で見ることもできる。動画は英語であるが、教室環境や実践のイメージがつかめるというのはこれまでにないものだと言える。
    ☆動画一覧についてはこちらのページから 『パワフル・ラーニング』動画一覧

     訳書としての特色の1つが、訳註である。可能な限り訳註を本文に入れており、本書の内容理解を促すように心がけている。
     もう1つの特色が索引である。本書のキーワードに関して索引で取り上げただけでなく、それらが掲載されたページに関してはほぼすべて参照できるようにした。例えば、「カリキュラム」という語は頻出しているのだが、それが登場するページを網羅している。それゆえ、カリキュラムがどのような文脈で用いられているかが索引からも掴むことができる。
     そして、編訳者として「はじめに」と「おわりに」も紙幅をとり、本書をどう位置づけ、これからの教育において何が求められるのかを論じたのも特色の1つとして挙げられるだろう。

     まず本書を手に取って頂き、そこに広がる豊かでクリエイティブな学びの世界、子どもたちの可能性等を読み取ってもらいたい。本書を読めばワクワクするような学びの楽しさを感じることができるだろう。

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    (2024.3.31) 2023年度のふり返り

     2023年度のふり返りをまとめておきたい。
     最も大きかったことは、教務・学生支援委員会委員長として、昨年度議論してきた学部のディプロマ・ポリシー(DP)、カリキュラム・ポリシー(CP)を教授会で議決することができ、来年度からの新しい方針を決めることができたことである。それに加え、全学のカリキュラム改革に合わせて、諸規則の改正、履修の手引の改訂等、諸々大きな業務をクリアできたことも挙げられるだろう。

    ■学内業務 
     今年度は、会議の連続といっても過言ではなかった(公表できるものに限る)。 
    ※は毎月開催されるものであり、その他は年に数回もしくはある時期に限定のものである。

    ・昨年度と継続した会議 
    ※主任会、※教授会、※専攻会議(後二者は大半の教員が関わる)

    ・教務委員長としての会議
    (学部)※教務・学生支援委員会(事前打ち合わせ有)
     教育学部で学ぶこと運営委員会、教職実践演習運営委員会
    (全学)※教育改善小委員会、教職課程小委員会、全学共通教育小委員会

    ・学生委員長としての会議(全学)※学生支援委員会、学生相談室連絡会議

     なお、教務・学生支援委員会としては、新入生オリエンテーションの運営、在学生ガイダンスの運営(1年生のみ対面実施、その他はオンデマンド)、オープンキャンパスの運営を担ってきた。
     また、学生委員長は、入試に関する警備責任者でもあるため、学部・大学院で実施される全ての入試で出動することになった(学部4回、大学院2回)。
     教務・学生支援委員会委員長として、冒頭で述べた通り、DP・CPの策定、諸規則の改正、履修の手引の改訂等、かなりの時間を費やして対応してきた。とりわけ、DP・CPに関わって、昨年度から議論してきた将来構想委員会のカリキュラムワーキンググループについては、色々助言を頂きながらよりよい方向につながる議論ができた。

    ・ICT活用ワーキンググループ グループリーダー
    ・教育実習検討ワーキンググループ

     昨年度から継続してきた上記の役割についても担ってきた。
     副学部長の任期は2年で今年度が一区切りであったが、来年度からの新しいカリキュラムの具現化のため、継続して教務・学生支援担当副学部長を担うことになっている。なお、学生委員長については、今年度で任期を終えることになった。

    ■教育面

    ・授業:例年通り、多くの科目を担当しているが、ほぼ面接授業で行う通常のスタイルに戻った印象である。ただ、資料配付等については、Moodleを活用する形が標準のスタイルとはなっている。それでも特に前期は、授業に忙殺される傾向にあるため、改善の方向性を考えていかねばならない。

    ・海外研修:昨年度に引き続き、ヴァージニア・コモンウェルス大学(VCU)研修のコーディネートをサブとして担った。通算3回目の担当となる。今年度は、前期入試と後期入試の合間を縫っての担当だったので、体調面には意識しながら臨んでいた(2022年度プログラムでは悪天候等で体調を崩してしまったため)。
     Spring breakのため、最初の1週間でRichmondでのプログラム(VCUと学校訪問)、もう一週間をWashington, D.C.で過ごすという流れであったが、大きなトラブルもなく過ごせたと言えるだろう。
     2022年度プログラムと同様に、ディスカッションの機会が持ちにくいのはやはり課題であったとは感じている。ただ、そういうものだという割り切りも一方で持ちつつある(できれば色々できた方がよいとは感じている)。

    ・学生指導:今年度は、ミャンマーからの海外研修生を受け入れ、一年間ゼミや授業、学校訪問等で学び合ってきた。ゼミ生も授業のサポートなどで協力してくれた点も大きかった。
     卒論指導を担当したゼミ生3人とも、紆余曲折があったものの、最終的には充実した内容に卒論をまとめることができた。
     また、第10期のゼミ生が教職大学院に進学してくれ、JSET秋季全国大会の参加、日本教育方法学会での学会発表も行うことができた。教育実習先でも活躍してくれていて、先方からも大変評価して頂いている。ただ、思うように時間も取れなかったことから、もう少し色々なことができたのではないかとも感じている。
     これについては、プロジェクトに関することも同様で、今年度はそれを立ち上げることができなかった。ゼミ生のプログラミングに関する卒業研究では、ゼミとして様々な協働を行うことができたが、ここも課題になったところである。
     来年度は、教職大学院にゼミが進学してくれたことで、M2、M1を見る体制となる。真13期生については来年度に決まることになることも例年とは異なる状況である。色々と大変な1年であったので、リスタートが必要である。

    ■研究・対外活動
     研究に関しては、個人的に停滞してきたというのが実際であった。

     JSET重点活動領域に関しては、9月の日本教育工学会秋季大会の重点活動領域セッションで第1期としての締めくくりとなった。その後、第1期メンバーで、特集号の展望論文を執筆することができ、年度内に公刊することができた。益川先生@聖心女子大学には、全面的にサポートしてもらったので特に感謝している。
     昨年度、日本科学教育学会年会のシンポジウムで登壇した内容を、科学教育研究に招待解説論文として「科学教育におけるプロジェクト・ベース学習と学習評価」を掲載して頂いた。
     また、先に述べたDPの議論については、将来構想委員会のカリキュラムワーキンググループのメンバーの共同研究として、島根大学教育学部紀要に「教員養成段階で育成を目指す資質能力の明確化 : 島根大学教育学部における議論を踏まえて」を掲載することができた。

     一方、研究発表としては、日本教師教育学会の発表に留まり、宇宙教育に関する論文執筆も遅れてしまっている。また、自身が代表を務める科研については、さらに1年間の期間延長を申請した。オンラインプログラムの構築についてはある程度進められたが、それの評価に関して残り1年間で進めるためである。また、新規科研についても、情報収集が主になってしまい、新しく大きな動きを作ることができなかった。

     対外活動としては、附属義務教育学校の未来創造科と附属幼稚園の共同研究者が中心となった。今年度は、附属学校園全体で未来創造科研修会を開催することとなり、小学校1年生と附属幼稚園をつなぐ役割を担った。未来創造科の授業公開では、講評・指導助言を担い、他の参観者に対してこれまでの取り組みを踏まえてポイントを整理させて頂いた。
     昨年度に引き続き、附属以外の地域や学校との関わりがなかったので、若干寂しさを感じる1年ではあった。

     教員免許状更新講習の後継事業として、「しまだい学校教員研修」が今年度からスタートした。教員免許状更新講習として開講してきた「教育評価の新たな地平」の4コマと新規開講となる「令和の日本型学校教育の実現を目指した探究学習指導・STEAM教育のノウハウ(基礎編)」の1コマを担当した。前者については、少数であったこと、参加者のニーズとマッチしなかったこと等、課題点が非常に大きかった。後者については、御園先生、松尾先生とそれぞれ1コマずつ担当したことで、よい意味でミックスできた内容になっていただろう。
     認定講習については、今年度は、「教育課程の意義及び編成の方法」の認定講習を2日間担当した。カリキュラム・マネジメントを軸に色々な視点で展開できたことで充実感を感じることができた。

     学内の事業ではあるが、対外的なものとして、今年度文部科学省「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」について、「バランスの取れた資質能⼒を向上する教師の学びのモデルの確⽴―地⽅圏に所在する⼤学による研修機会の創出―」というテーマで受託研究を進めることになった。アンケート調査に基づき分析・報告を行う「調査班」のメンバーとして取り組みを進めてきた。データ収集後からは、ミーティングも複数行いながら検討・協議ができたので、やはり研究的な活動に従事することが重要なのだと実感した取り組みだった。

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    (2024.03.22) 令和5年度島根大学学位授与式(松江キャンパス)

     3/22は、令和5年度島根大学学位授与式(松江キャンパス)であった。午前中は島根県民会館で全学の式典、午後からは専攻での学位授与式が挙行された。3名のゼミ生が無事に卒業ができたのは大変喜ばしいことである。
     なお、専攻での学位授与式の後、ミャンマーからの海外研修生の修了式をゼミで行った。特に規定されたものもないものだが、ゼミとして1年間の締めくくりを作りたいということで挙行したものである。大学院生1名、卒業生3名、そして3年ゼミ生3名が参加してくれた。この日の夕方に松江を出発し、大阪へ移動し、日曜日に無事に帰国することができた。

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    (2024.03.20) ゼミ中間発表会・送る会

     毎年3月に3年ゼミ生が卒業研究で取り組む内容を発表する「ゼミ中間発表会」を開催している。送る会・新歓もセットにする形で長らく行われてきたが、今年度についてはゼミの配属が決定しておらず、送る会のみ設定することになった。ただ、4年生3名、3年生5名のスケジュール調整もなかなかうまくいかず、4年生2名と3年生1名は現地参加、3年生3名はオンライン参加(急遽1名会場で発表)という形にならざるを得なかった。3年生1名はオンラインでも都合がつかず、発表内容について録画してもらい、当日会場で視聴した。なお、大学院生と海外研修生は、中間発表会と送る会に参加してもらうことができた。
     中間発表会について、まだまだ課題もあるが、卒業研究について具体的な方向が見えたことは重要な機会だっただろう。
     送る会については、4年生2名、3年生1名、大学院生と海外研修生で大学近くのカレー店で開催した。小規模ではあったが、海外研修生の送る会でもあったので開催できたこと自体がよかったと考えている。

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    (2024.03.16) 島根県立大学松江キャンパス集中講義

     島根県立大学松江キャンパスで「教育方法論(幼・小)」の集中講義5コマを3/16の一日で担当した。できれば2日に分けたいところであったが、スケジュール上この日しか取れなかったため一日開催となった。講義内容は以下の通りである。

    第1回:授業の設計と計画
     カリキュラム開発や指導計画の基盤となるタイラー原理について詳細に説明した。
     そして、インストラクショナル・デザイン(ID)に関する目標設定を押さえた。

    第2回:課題分析の意義と方法、教育評価
     3つの課題分析を紹介し、手順分析については実際にワークで取り組んだ。
     また、教育評価については5W1Hの視点について確認した上で、評価方法の多様性について確認した。

    第3回:学習指導の方法・技術
     本時については、ハウツー的な指導ではなく、まず興味の段階性と環境の重要性、動機づけを規定する内的・外的要素について取り上げた。
     そして、ARCSモデルを紹介した上で、それぞれの下位に含まれる内容から重要となることを見つけてもらうワークに取り組んだ。

    第4回:情報活用能力の育成とICT活用
     GIGAスクール構想にいたる情報教育・ICT活用の推進を概説した上で、GIGAスクール構想で求められる方向性について確認した。また、教育の情報化に関するデータから、学校現場が劇的に変わりつつあることの共通理解を図った。現在求められる情報活用能力について押さえた上で、1人1台端末での実践例からポイント等を考察してもらった。

    第5回:諸外国におけるICT活用のあり方
     まず、米国におけるICT活用の実践例としてプロジェクトの活動において必要な状況の中でICTを用いる事例を紹介した。

    Thinkering Studio: Supporting Self-Directed Learning

     その後、「倉敷宣言」「富山・金沢宣言」で目指されたICT活用のあり方、デジタル・シティズンシップについて共通理解を図った。前提となるシチズンシップを踏まえた上で、デジタル・シチズンシップの定義や構成要素を確認した。
     その上で、日本の情報モラル教材とデジタル・シチズンシップの教材を視聴してもらい、求められる「シティズンシップ」のあり方や教材の構成について対比的に考察してもらった


    6年 10代の声・ネット上での自分自身の表現

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    (2024.03.03-09) VCU研修後半

     2/5から3/9までヴァージニア・コモンウェルス大学(VCU)研修が行われ、8名の学生が参加した。前回の投稿に続く後半は、ワシントンD.C.での移動が中心だった。

    3/3 
     Spring breakに入ったため、今年度もAmtrakでワシントンD.C.に向かった。
     午前に出発し、ホテルには14時前に到着した。ところが、予約に関して諸々トラブルがあり、2時間ほどかかってようやくチェックインできた。
     夜には、全員でシアターでのパフォーマンス”The Sensational Sea Mink-ettes”に行った(写真1)。それは、家族や社会、サークルで期待される姿と自己像のギャップと格闘を描いた内容だった。

    3/4 
     学生たちは自由行動だったので、National Air and Space Museum(写真2)とNational Archives Museumを巡って情報収集を行った。

    3/5 
     午後から2022年プログラムと同様に、”Serious Tour”と題して、5名の学生と国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館で解説をしながら学習する機会をもった(写真3)。展示で示された権利を巡る闘争と連帯を丁寧に押さえつつ、巡りながら議論していった。それらを踏まえつつ、博物館や展示のあり方から、日本におけるそれらとの差異を考えてもらった。 夜は、全員でディナーに向かった。学生同士だとファストフード等になりがちなので、良い機会になったようだった。

    3/6 
     本日も学生たちは自由行動だったが、メールで研究関連の訪問先についてうまく調整が取れていると考えていた(写真4)。ところが、公式のメールとご本人のメールの同報ではなく、公式のアドレスに届いていたため、残念ながら現地での訪問が叶わなかった(後日オンラインで情報収集)。

    3/7
     午後からRichmondへ移動だったが、若干時間があったので、2時間ほど2箇所を回ってホテルに戻った。
     Amtrakの遅延、ホテルで学生が預けていた荷物のトラブル等があったが、何とか出発の段取りはできた。

    3/8-3/9
     4時ホテル発でRichmond空港に移動し、シカゴのトランジット、そして成田空港へ3/9に到着した。順調につながり、最終の羽田発の米子空港着でこちらに戻ることができた。

     前回プログラムでは、寒さで体調を崩すことがあったが、滞在期間中万全の体調で臨むことができた。若干のトラブルを除いては、おおむね順調に終えることができたと言えるだろう。

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    (2024.02.26-03.02) VCU研修前半

     2/5から3/9までヴァージニア・コモンウェルス大学(VCU)研修が行われ、8名の学生が参加した。教育学部生4名、教職大学院生1名、そして他学部生3名で構成されるメンバーだった。例年通り、3分の2を香川先生が担当し、残り期間を私が担当する流れであった。私は、2/26に日本を出発し、現地に2/26に到着した。2/27からのプログラムに参加したが、まず前半の内容について紹介する。

    2/27 
     午前中は、Teacher education 210とEducational Studies 202のクラスが設定されていた。
     前者は全員参加で後者は希望者が参加だった。前者は心理学的な視点から教育実践を問うもので「ステレオタイプ」がテーマであった。後者は、学生たちの教育に関するグループプレゼンであった。これらは、カリキュラムの概念的にフレームワークに基づくものだと言えよう。
     この日の午後のランチで顔合わせを行い、それぞれの学びについて話してもらった。
     夕方からは、 Black and Abroad: Global Citizenship Panelが設定されていたが、こちらは私だけが参加した。海外留学体験についてプレゼンし、それについてのパネルディスカッションであった。その後開催された国際交流イベントであるBridges International Dinnerには、5名の学生が参加した。

    2/28
     Pace Centerのランチイベントが開催され、5名の学生が参加した。
     その後、Principles of Community Engagementの授業であったが、貧困国に対する海外支援を問い直す内容であった。
     夕方から学生主体のプログラムであるEmerging Leaders Programに参加した。グループでゲーム等を行いながら交流を深める内容だった(写真2)。

    2/29
     午前中は、火曜日と同様Teacher education 210とEducational Studies 202のクラスが設定されていた。内容は、継続したものだった本日で、Spring break前最後の授業であった。
     夕方からPace Centerのキッチンを借りて、VCU学生とのFarewell Partyの準備を行った。おにぎり、みそ汁などの日本食を振る舞った(オンライン会議のため最初の方で中座)。

    3/1
     学校訪問として現地の公立小学校のほぼ一日の参観した。2年生と5年生のクラスにわかれて、生活リズムや授業、ランチなどを共に過ごしながら様々な視点を得る機会になった。5年生は主にMath(写真3)、2年生はLanguage Artsの内容であった。

    3/2
     土曜日でオフだったので、Science Museum、VMHC、VMFAを回って、様々な情報収集を行った。

     

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    (2024.02.19-20) 島根県立大学松江キャンパス集中講義

     島根県立大学松江キャンパスで「教育方法学」の集中講義を2/19、20の2日間担当した。
     主な内容は以下の通りである。

    2/19
    第1回:教授・学習の原理と構造1
     3つの学習観(行動主義、認知主義、(社会的)構成主義)を押さえた上で、そのうち行動主義と認知主義について取り上げた。
     客観的に観察可能な「行動」に焦点を当てる行動主義の基本的な考え方を紹介した上で、オペラント条件づけを動画を交えながら確認した。スキナーは、それを人間の学習に応用し、プログラム学習を提唱したことを押さえた上で、e-learning等にも現在応用されていることを紹介した。
     人間の情報処理過程に着目する認知主義については、スキーマとスクリプト、熟達(エキスパート/ノービス)というキーワードについて、事例を踏まえながら確認していった。

    第2回:教授・学習の原理と構造2
     構成主義に説明した上で、特に社会的構成主義を取り上げた。最近接発達領域、足場かけ、正統的周辺参加の3つを主に取り上げ、学習における他者の必要性と共同体の重要性について確認した。
     それから、外発的動機づけ/内発的動機づけと興味の重要性について確認した。

    2/20
    第3回:教授・学習の形態と様式
     本時では、「真正の評価」を主に取り上げた。まず、「真正」とは何か、どのような評価のあり方が批判されてきたのかを確認した。そして、職場に埋め込まれた学習として、ある職場紹介の動画から、各教科等の内容を読み取ってもらった。また、プロジェクト・ベース学習の事例としては、『パワフル・ラーニング』にも掲載されているウォータービルにおけるサバクツノトカゲの調査に関するものを紹介した。
     ARCSモデルについては、解説を行った上で、それぞれの下位に含まれる内容から重要となることを見つけてもらうワークに取り組んだ。

    第4回:情報活用能力の育成とICT活用
     GIGAスクール構想にいたる情報教育・ICT活用の推進を概説した上で、GIGAスクール構想で求められる方向性について確認した。また、教育の情報化に関するデータから、学校現場が劇的に変わりつつあることの共通理解を図った。現在求められる情報活用能力について押さえた上で、1人1台端末での実践例からポイント等を考察してもらった。

    第5回:諸外国におけるICT活用のあり方
     まず、米国におけるICT活用の実践例としてプロジェクトの活動において必要な状況の中でICTを用いる事例を紹介した。

    Thinkering Studio: Supporting Self-Directed Learning

     その後、「倉敷宣言」「富山・金沢宣言」で目指されたICT活用のあり方、デジタル・シティズンシップについて共通理解を図った。前提となるシチズンシップを踏まえた上で、デジタル・シチズンシップの定義や構成要素を確認した。
     その上で、日本の情報モラル教材とデジタル・シチズンシップの教材を視聴してもらい、求められる「シティズンシップ」のあり方や教材の構成について対比的に考察してもらった


    6年 10代の声・ネット上での自分自身の表現

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    (2024.02.17) シンポジウム「これからの教師の主体的な学びについて共に考える―地方国立大学による研修機会の創出―」

     2/17の午前中、くにびきメッセにて、シンポジウム「これからの教師の主体的な学びについて共に考える―地方国立大学による研修機会の創出―」が開催された。今年度、文部科学省「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」について、「バランスの取れた資質能⼒を向上する教師の学びのモデルの確⽴―地⽅圏に所在する⼤学による研修機会の創出―」というテーマで受託研究を進めることになり、その一環として開催されたものである。

     学部長挨拶の後、教員研修の高度化に資するモデル開発事業の実施報告と島根県・鳥取県の教師を対象とした「教員研修等に関する調査」の分析結果の報告があった。主にはとりまとめを担って頂いた津田先生から報告して頂いたが、「教員研修等に関する調査」については調査班として協働して取り組んできたので、登壇して報告を行った。

     その内容を踏まえつつ、「大学の研修に期待すること」として、島根県教育委員会/島根県教育委員会の代表者から コメントが寄せられた。
     最後の45分間で「教師が主体的に学びに必要なこと、できること」についてグループワークが行われた。それぞれグループにファシリテーター役となる担当者が入ることで充実した意見交換がなされていた。
     最後に御園教師教育センター長から挨拶を頂き、閉会となった。

     3月中に最終の報告書を取りまとめて、本事業の締めくくりとなる。海外研修の引率を挟むため、なかなか大変な時期に大きな仕事が入ることになった。

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    (2024.02.10) 卒業論文発表会

     2/10の午後から専攻の卒業論文発表会が開催された。昨年度はオンライン開催であったが、今年度は対面開催で実現ができた。毎年のことだが、3名のゼミ生については冒頭見に行くだけで、口頭試問で聞いていない他ゼミ生の発表を回った。ゼミ生については、それぞれ提案性のある研究になったと言えるので、色々と参加者とのコミュニケーションが起こっていたようであった。

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    (2024.02.02, 07, 09) テューター活動事後指導

     小学校教育専攻の3・4年生で選抜されたテューターが前期の初等教育実践基礎Bと後期の初等教育実践基礎Cという論文講読のレポート執筆にあたって個別のサポートを行ってもらっている。今年度も、スケジュールが上手く調整できず、3回にわけて開催することになった。
     まず、グループに分かれてもらい、主に後期の活動について振り返りを行ってもらった。その後、1人1人が全体について報告するという形をとった。執筆者の考えを尊重しながら協働するスタンスをテューター1人1人がとっていることが改めて確認でき、非常に充実した活動して展開できていたことが分かった。ただ、前年度よりもテューターの相談回数が減るようなカリキュラムとなったことから、後期で担当があまりできなかった学生もいたのでバランスを検討することも必要だったかもしれない。

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