火曜日から3日間、島根県立大学で「教育学」集中講義を担当した。今年度初めての宿泊を伴う出張、そして対面授業であった。昨年度が最後の予定だったが履修者2名がいたので本当の最後の年となる。なお、最終日は一名体調不良のため欠席となり、マンツーマンで授業を行った(欠席者は5回分の課題を設定して対応した)。
3日間の授業の概要は以下の通りである。
第1回:教育を考える視点
人間の発達を支える社会・文化的要因、他の動物とヒトの「学習」の差異と教育の意義
第2回:西洋における教育の歴史的変遷1
文明と文字、中世におけるキリスト教と学問(共通語としてのラテン語)、ルネサンス期における商工業の発展と母語の読み書き、活版印刷と宗教改革
第3回:西洋における教育の歴史的変遷2
コメニウスによる近代学校の構想と世界図絵、絶対王政から市民革命(フランス革命、アメリカ独立革命)における教育の捉え方の変化
4コマ:西洋における教育の歴史的変遷3
産業革命による共同体の崩壊と学校制度の発展、20世紀からの新教育(課題資料として典型的な事例ではないが、今年は5コマにつなげるためドイツのペーターゼンを取り上げた)
5コマ:現代における市民としての「自由」と「自律」の事例
オランダの「民主的な法治国家の基本的な価値意識」と自律を基本とした教育の展開
第6回:日本における歴史的変遷1
江戸時代の教育の特質、明治期の学校教育の整備(海外からの輸入)、試験に基づく競争原理とその結果
第7回:日本における歴史的変遷2
立身出世から国民教育への転換(教育勅語と祝日大祭日儀式規程)、小学校義務教育の完成(第三次小学校令)、それ以降の中等教育の拡大(資料に基づく要因の考察)、戦時下の教育
第8回:日本における歴史的変遷3
戦後の教育改革(対日使節団報告書と新しい教育制度、学習指導要領(試案)と社会科の新設)から逆コースへ
第9回:日本における歴史的変遷4
戦後の高等学校の拡大(資料に基づく要因の考察)、高度経済成長期の教育政策と教育の現代化、校内暴力等の問題
第10回:日本における歴史的変遷5
臨時教育審議会の議論とゆとり教育、総合的な学習の時間等が現場に与えた影響
第11回:青年期の捉え方
江戸時代末期から現代に至る歴史的変遷から「青年期」について検討していった。揺らぎと自己決定という「青年期」が十分に保障されていない状況を押さえつつ、社会の問い直しを含めた視点を学ぶことの重要性を確認した。
第12回:子どもの権利条約を考える
子どもの権利条約についての成立背景とその内容を確認した上で、現在実現できていない点をいくつか紹介した。児童会・生徒会、校則を批判的に捉え、子どもの権利を保障する学校・学級のあり方について考察した。
第13・14回:学校教育のあり方の批判的検討
イリッチの「脱学校論」、フレイレの「銀行型教育」「課題提起教育」の批判のポイントを押さえつつ、昨日の授業内容である日本の歴史的変遷とつなぎながら現状を問い直した。そして、プロジェクト・ベース学習に見られる米国における学びの舞台の変化(サバクツノトカゲの探究、Build SFの実践)、ホームスクールの事例から学校のあり方の問い直しを図った。
最後は、Sugata Mitraの実践から学びの魅力と人がもつ根元的な学びの可能性を検討した。
第15回:3日間のリフレクション課題

