島根大学教育学部の現職教員研修は、島根県・鳥取県の主幹教諭や教育委員会の指導主事等を対象に、学校経営や学校教育の現代的課題を学ぶことを目的として、平成23年度から行われているものである。今年度については、対面とオンラインを併用する形で行われたが、11/25は、島根大学教育学部附属山陰教員研修センター(附属義務教育学校前期課程南校舎)にて対面実施として行われた。当日は4時間の構成だったが、そのうち2時間を私が担当した。
テーマは、「学校の教育目標とカリキュラム・マネジメント」であった。
1時間目については、これまで議論されてきた教育課程とカリキュラムとの差異を踏まえて「学習経験」と「隠れたカリキュラム」に着目することの重要性を押さえた。「隠れたカリキュラム」の視点から勤務校(現任校もしくは直近の勤務校)の実態を記述してもらい、グループでそれらを共有しながら改めて各校の実態の差異を捉え直してもらった。
そして、「カリキュラムマネジメント」が1990年代後半から登場してくる背景を押さえつつ、2017年学習指導要領改訂で「カリキュラム・マネジメント」が重要なキーワードとして位置づけられるようになったことを確認した。教科等の横断的、リソースの拡充、PDCAサイクルといったキーワードを押さえた上で、「カリキュラム開発」の基本となる「タイラー原理」を紹介した。それは、目的・目標の設定、それに応じた学習経験の選択と組織化、そして評価という4つの視点から問い直すものである。グループワークとして、「対話的な学び」を取り上げ、それに必要となる「学習経験」と「組織化」を検討してもらった。
2時間目は、PDCAサイクルを再度取り上げた上で、”C”から”A”にいかねばサイクルにならない点を取り上げ、そこに評価が問われることを確認した。そのためにも予め計画段階で評価も想定することの重要性を押さえた上で、前時で取り上げた「対話的な学び」を校内で評価するための方法とスケジュールをグループで協議してもらった。
最後に、田村知子先生の「カリキュラム・マネジメント・モデル」を紹介し、リーダーシップと組織構造として必要な視点を確認した。その基盤となるのが、「専門職資本」であり、以前共同研究で取り組んだ成果を材料に、優れていると捉えられるポイントと実践可能なポイントを考えてもらった。
資料:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscs/29/0/29_29/_article/-char/ja/
当日は、授業で行っているコメントの記入も行ってもらい、研修後にリプライする形で+αの学習にもつながるように努めた。オンラインでももちろん可能ではあるが、やはり対面だからこその空気感を感じながら研修を担当できたことは非常にやりがいがあった。