(2022.08.05) 島根県免許法認定講習

 島根県免許法認定講習「幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」が8/4と8/5の2日間、島根県合同庁舎の会議室で開講された。前日の8/4は、幼児教育を専門とする同僚に担当してもらい、私は児童・生徒に関する部分を主に扱った。以下が主な内容である。

1時間目 児童・生徒の発達
 身体、知的能力、人間関係の3つの視点から児童期、青年期の発達の特徴を確認した。ワークとして、コールバーグの道徳性の発達段階に取り組んでもらい、それぞれがどういう観点で説明したかを共有した。日本においては、段階6が全く表れないデータを基に、なぜそういう傾向が表れるかをグループで検討してもらった。最後に、米国における高校3年生の姿を紹介し、日本で期待される姿とのズレを言語化してもらった。

12年生:僕らは市民のコミュニケーター

2時間目 学習の基盤となる興味と動機づけ
 まず、「興味」を取り上げ、その段階性と環境の重要性について確認した。
 その後、動機づけのメカニズムを概説し、外発的動機づけと内発的動機づけについて対比した。それを踏まえつつ、動機づけを考える上で重要となる「自己効力感」と「原因帰属」について紹介した。それらを踏まえて、授業等でいかなる実践が必要となるかを最後に検討してもらった。

3時間目 行動主義・認知主義に基づく学習
 客観的に観察可能な「行動」に焦点を当てる行動主義の基本的な考え方を紹介した上で、オペラント条件づけを動画を交えながら確認した。スキナーは、それを人間の学習に応用し、プログラム学習を提唱した。ワークとして、ある行動についてスモールステップの分解する活動に取り組んだ。
 人間の情報処理過程に着目する認知主義を理解するため、複数の問題に解答してもらった。それを通して、人間の情報処理が既有知識に基づいて行われることを確認した。最後に、有意味受容学習、スキーマとスクリプト、熟達(エキスパート/ノービス)というキーワードについて、事例を踏まえながら確認していった。

4時間目 構成主義に基づく学習
 冒頭で構成主義に説明した上で、特に社会的構成主義を取り上げた。最近接発達領域と正統的周辺参加の2つを主に取り上げ、学習における他者の必要性と共同体の重要性について確認した。それらの視点から見た場合、学校や教室そのものが果たして望ましい姿になっているかを問いかけた。最後に、米国におけるプロジェクト・ベース学習の事例を紹介し、真正の学習に取り組む「共同体」のあり方について検討してもらった。

 本講習の受講者は5名だったが、熱心に取り組んでくれた。今後の実践を考える上で、重要な視点を学ぶことができた機会になっただろう。

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