9/17-9/18は、オンライン開催となった日本教師教育学会全国大会に参加した。なお、9/17の午後からは別に投稿した通り、日本科学教育学会のシンポジウムに登壇していた。
9/17の自由研究発表では、3件の発表を聞き、最後のセッションで総合討議を聞く形であった。”teacher agency”に関する発表に関しては、事例としては”vulnerability”に関するものだと理解したが、諸外国における議論との一致を図る難しさを感じた。
9/18の自由研究発表では、以下の発表を行った。
深見俊崇(島根大学)教師の資質・能力の再検討
中教審答申等における資質・能力の規定が曖昧であること、各自治体レベルでの教員育成指標の乱立といった問題を指摘した上で、オーストラリアにおける専門職スタンダードの内容とその成立過程について確認した。オーストラリアにおいては、専門的知識、専門的実践、専門的従事の3領域に7項目が設定されている。そして、学卒段階、正規採用、熟達教師、そして指導的役割のキャリアプロセスが描かれ、それぞれに到達すべき資質・能力が明示されている。専門職スタンダードについては、研究知見が基盤となっているが、現職教員等もその成立にあたって意見を発信する機会が設けられていた。このスタンダードは、教員養成にあたっては、養成校の認証評価に関わっており、エビデンスの提出等が求められている。また、正規採用となるには、各州における教師登録機関にエビデンスの提供が求められるよう、それらを確認する体制が存在している。
日本においても、オーストラリアにおける専門職スタンダードレベルで具体的に国レベルで規定しなければ共通理解を図ることは困難だろう。その基盤となるのが,社会正義と研究基盤を追求する価値と知識と技能の三位一体のスタンダード(百合田 2017)となるはずである。
本セッションでは、大阪教育大学の木原先生による教職大学院実務家教員の交流プログラム、和歌山大学の宮橋先生によるInstructional Roundsをベースにした教職大学院の授業に関する報告があった。
最後の全体討議では、コーディネーターの高旗先生、矢野先生から的確な質問を頂き、非常に充実した内容となった。全体討議30分の後、12時頃まで引き続き、継続してディスカッションも続けられた。
最後のセッションは、課題研究II「大学における教職課程の『グランドデザイン』を描く」に参加した。日本教師教育学会のHPにリンクがあるように、科研の基盤研究Bが採択され、学術的基盤に基づく、日本独自の教員養成の「制度」と「カリキュラム」を検討し、提言することが主旨となっている。
グランドデザインとして提案する方向性については、非常に理解でき、そこで示される内容についても当然必要だと考えられるものであった。ただ、議論の方向性が理解できなかったというのが正直なところである。「コンテンツ・ベース」から「コンピテンシー・ベース」という点が掲げられているが、識者(?)に対する聞き取りでは、それが否定的に捉えられたそうである。そのため、「コンピテンシーベース」は使わない方が良いのではないかという方向に進んでいた。自身の発表からみれば、オーストラリアの専門職スタンダードはコンピテンシーベースだと言えるだろう。識者への聞き取りもそうであるし、指定討論者の話題提供もそうなのだが、どういう方向に建設的に議論を進めるかという根本的な軸が全く感じられなかった。重要な話題提供でありながら、曖昧模糊として終わっていったというのが正直な印象である。
全体的には議論の機会として得るものが大きかったが、諸々のところで消化不良感を感じる2日間であった。対面開催であれば、そういったところを相互に議論できるのだろうが…と思っていた。

