2021年度のふり返りをまとめておきたい。
■教育面
・講義等
例年の多くの科目を担当しているが、今年度は教職大学院の新しいカリキュラムがスタートしたため、多くの授業で新規にデザインする必要があった。特に主担当であった「エビデンスに基づく教育改善」と「資質・能力評価の探究」についてはかなり力を入れて授業を構成した。
今年度については、対面授業も増えていたが、専門共通科目については受講人数の関係からオンデマンド開講となった。昨年度は教材作成にエネルギーが相当割かれたが、今年度についてはそれを活かしつつ、まとめプリントでレスポンスを行えるようになった。非常勤(県立大学集中)についても同様の形で進めることができた。
・学生指導
卒論指導を担当したゼミ生3人とも、紆余曲折があったものの、最終的には充実した内容に卒論をまとめることができた。2人については論文にまとめて投稿する予定である。
今年度については、3年ゼミ生3人と4年ゼミ生3人という構成だったため、前期については3・4年ゼミとして行ってきた。最初の文献として、ゼミでは『OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来』を読んでいたが、著者の白井氏にお声かけを頂き、オンラインでの意見交換会を開催して頂くことができた。
その後、ゼミのプロジェクトを立ち上げ、10月末にオンラインでのワークショップを開催した。そして、その成果をJAET全国大会で発表することもできた。
今期のゼミ活では、真11期生として、新たに3人のゼミ生を迎えることとなった。今年度のよい流れをどう引き継いでいくかについては考えていかねばならない。
■学内業務
今年度は、様々な業務で貢献できたと自負したい。学内に関するものは次の通りである(公表できるものに限る)。
・小学校専攻主任
・ICT活用ワーキンググループ グループリーダー
・専門共通科目部門 部門長
・教育実習検討ワーキンググループ
専攻主任として会議の時間管理、諸問題の解決等にあたってきた。コロナ対応等発信すべき案件もたくさんあったが何とか乗り越えることができた。
ICT活用ワーキンググループについては、昨年度設置を提案し、4月よりスタートを切ったものである。ワーキンググループのメンバーと共同で執筆した「ICT活用ハンドブック」をまとめることができたことは最も大きかった。その他、学生に対するICT活用指導力に関する実態調査、講義等におけるICT活用の実態調査等も進めることができた。教育実習におけるICT活用については実習部で中心的に議論が進められたが、情報提供等については貢献できたと言えるだろう。
専門共通科目部門の部門長として、カリキュラムマップ・カリキュラムツリーの議論を進めることができたのに加え、専門共通科目部門規程の改訂にも着手できた。
■研究・対外活動
研究に関しては、今年度についてはある面で進み、ある面で停滞するというのが実際であった。
進んだ点としては、附属幼稚園における宇宙教育の実践・追跡調査である。今年度については附属幼稚園が探究をテーマに掲げていたこともあり、8月にJAXAの教員研修を遠隔で実施し、12月にはJAXAと遠隔でつないでの実践を行うことができた。その後、12月から3月に10回程度遊びの展開について調査を行った。それについては今後論文化を図っていかねばならない。
WERA 2020+1では、”Rethinking Education”翻訳チームでシンポジウムを行った。私は、Discussantとして全体の議論の方向性を確認することができた。日本教育工学会研究会2回の発表(報告集の執筆)と日本教師学学会の発表が個人の研究という形になった。全く不十分だとは言えないが、もう一歩できたことがあるとは感じている部分である。
停滞に関しては、自身が代表を務める科研とJSET重点活動領域に関してである。前者は2年目を迎えたが、オンラインプログラムの構築が遅れたため、3年目で終わるか延長するかどうかを考えていかねばならない。後者については、9月の日本教育工学会秋季大会でスタートを切ったものであり、学習評価部会の部会長を務めることになった。秋季大会では目指す方向性等については一定方針を固めることができた。だが、1月・2月に研究に関する諸活動に取り組むことができなくなり、大幅に遅れる形となってしまった。3月に開催された日本教育工学会春季大会では、リスタートを切るための場となった。
対外活動としては、附属義務教育学校の未来創造科に関わって大きく動いた年だった。昨年度に研究指定学年を提案し、今年度は後期課程7年生が対象となった。7月と9月に探究に関する授業実践を行い、その他7年生の公開に関わっての協議等にも深く関わることができた。8年生と9年生の成果発表でも未来創造科の取り組みを紹介する役割を担い、後期課程の未来創造科については大きく進めることができたと言えるだろう。
第54回中国地方放送教育研究大会山口(防府)大会については、現地参加ができればよかったが、オンライン開催となった。事前に収録された授業動画が見やすくかつ生徒のコミュニケーションも含めて巧みに編集されており、現地のご苦労が垣間見られた。当日は、オンラインでの授業協議も活発に行われ、充実した大会だったと言える。
附属幼稚園の共同研究者としては、公開研修会に向けて園内研修と研究協議に携わった。コロナ禍で昨年度はDVD配付という形になったが、今年度は保育参観・協議会を対面で実施することができた。
・更新講習等
現行の最後の教員免許状更新講習として、いずれも昨年度同様オンデマンド開講とした、選択必修(全般、幼稚園教諭向け)1時間、選択科目「教育評価の新たな地平」4時間を担当した。後者については、全面的に教材を作成し直し、労力はかかったが内容としては満足のいくものになった。