(2023.08.07) しまだい学校教員研修「教育評価の新たな地平」

 教員免許状更新講習の後継講習として、今年度より「しまだい学校教員研修」がスタートした。島根県、鳥取県両県の教員については、研修情報システム(研修履歴の管理)に登録されるものである。
 8/7の午前・午後と山陰教員研修センターにて、「教育評価の新たな地平」の講習を担当した。「教育評価の新たな地平」については、2013年度から継続的に開講してきたプログラムである。オンデマンド受講期間もあり、内容をリニューアルしながら現在の形に整理してきた。主な講習内容は以下の通りである。

1コマ:教育評価の意義と教育評価の歴史的変遷
 そもそも教育評価とは何かを確認した上で、何のために評価を行うのか、相対評価と絶対評価の考えたを説明した。その視点をもって、戦後から現在に至るまでの社会事象や教育として期待されていたものが評価に大きな影響を与えてきたことを概説した。

2コマ:評価方法の多様性①
 評価をデザインする視点として、5W1Hを取り上げた。6つの視点について丁寧に確認しつつ、診断的評価における「レディネス」の把握をどう工夫するか、校外学習において事前にどのようなしかけをすることによってより意味ある評価になるかをグループで検討してもらった。

3コマ:評価方法の多様性②
 評価方法に関する視点として「真正の評価」の登場背景とそこで目指されたものについて概説した。日本では、「真正」についての議論よりも方法としてのポートフォリオ評価やパフォーマンス評価が積極的に受容されてきたことを押さえた上で、それぞれのポイントについて確認した。パフォーマンスを評価するためのアプローチとして、ルーブリックを取り上げ、ある生徒のプレゼンを視聴した後、生徒が自己改善できるためのルーブリックをグループで考案してもらった。

4コマ:新しい学習指導要領における評価のあり方/諸外国における評価のあり方
 各国の教育改革、新しい学習指導要領の方向性を確認し、その議論が2017年学習指導要領改訂に影響を与えてきたことを押さえた。特にカリキュラム・マネジメントにおいて「評価」が重要になることを紹介してから、「対話的な学び」を学校全体で推進するための評価計画のあり方について議論する活動に取り組んだ。
 最後に、諸外国では「真正の評価」を前提として、学校全体のカリキュラムが大きく変わってきたHigh Tech Highの事例等を紹介しつつ、指導と評価の総合的な変革が今後も求められることを提案し締めくくった。

 残念ながら、他の講習と重なってか計6名と少ない受講者だった。人数は少なかったが、充実した内容にはなっただろう。多くの受講者はポジティブなコメントを頂いたが、あまりにギャップが大きいというコメントも頂いた。ただ、この基本がなかなかできていない現場が多いので、学ぶ機会は保障せねばならないと考えている。

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