大阪公立大学集中講義「教育メディア論」第3日目の記録である。
第11回 課題発表とプログラミングまとめ
前日に取り組んでもらったScratchの課題を各自発表してもらった(写真1)。本来じっくり取り組んでもらうのが望ましいが、限られた時間にもかかわらずそれぞれ工夫点が見られる作品となっていた。
プログラミングのまとめとしては、Telloの飛行の様子の動画(Scratchでプログラミング)、『Scratchではじめる機械学習』に掲載されているジャンケンゲームの動画を踏まえ、これらのScratchの拡張可能性を確認した。それを踏まえつつ、自動運転と機械学習の話を締めくくりとした。最後にプログラミングの可能性を考えてもらうためにTEDのプレゼンを視聴してもらった。
A delightful way to teach kids about computers | Linda Liukas – YouTube
第12回 ゲームと教育
Mentimeterでこれまで経験してきたゲームを共有してもらってから、ゲームの有する学習可能性について確認した。それを理解するため、『デジタル社会の学びのかたち』で取り上げられたゲームを中心に実際のゲームと学習につながる点を紹介した。
特にMinecraftが米国等でも数年前から授業で実際に用いられているが、プログラミングを活用した動画や米国における9年前の取り組みを動画で視聴したりした。
Using Minecraft as an Educational Tool – YouTube
MacGonigalのプレゼンを視聴した上で、ゲームが社会を変革することにつながる可能性を改めて確認した上で、諸外国で取り組まれる市民科学におけるゲーム活用、社会的問題解決とゲームの話題を取り上げた。そのような視点を踏まえて、具体的なゲームとしてどのような構想ができるかをグループでディスカッションしてもらった。
Jane McGonigal: Gaming can make a better world | TED Talk
第13・14回 インターネット社会における教育のあり方
ここでは、Khan AcademyとMOOCsを取り上げた。いずれもTEDのプレゼンを視聴して、それぞれのイメージをもってもらった。
ビデオによる教育の再発明
ダフニー・コラー 「オンライン教育が教えてくれること」
体系的に網羅された動画コンテンツがあることによって教室がどのように変わるか、優れた動画コンテンツが生まれることで授業があまり上手くない教師がいた場合にどのような実践を考えればよいかをグループでディスカッションしてもらった。
第15回 21世紀型スキル
エンゲストロームの『拡張による学習』に指摘されていたように「道具の貧困」「文脈から切り離された学習」は諸外国においても問題となっていた。それらは「真正の学習」「真正の評価」の提起によって転換されてきた。そのような背景を押さえつつ、本授業では21世紀型スキルを取り上げた。
最後の締めくくりは、Jamboardを活用し、21世紀型スキルを実現するための学習活動と学習環境・パートナーシップをグループで検討してもらった。
2年間遠隔で授業を担当してきたが、やはり対面でできる強みを実感する3日間であった。グループでのディスカッション、制作活動等はオンラインでは代替できない部分である。これまでも重視してきたが、「メディアを活用した教育のあり方」、「メディアが教育を変えていくこれまでとこれから」そして、社会的包摂、シチズンシップ、公平性といった理念、メディアを活用した創造と表現の可能性を日本の文脈では語られない形で学ぶことができた3日間だっただろう。