(2019.8.28-30) 大阪市立大学「教育メディア論」集中講義

 例年に引き続き、8月末に大阪市立大学「教育メディア論」の集中講義を担当した。
 今年度から14回の授業となったので、3日間は次のような授業構成とした。

(1日目)
第1回:情報とメディア 
 情報とメディアの定義、メディアになる体験とメディアの歴史的変遷

第2回:情報教育とICT活用
 情報教育の歴史的変遷と現在のICT整備状況を確認した上で、情報活用能力のある要素を学ぶためのワークに取り組んだ。

第3回:ICT活用の実践例
 小学校、中学校の2事例についてVTRを通して学んだことをグループで確認した。

第4回:国際的に目指される方向性
 「倉敷宣言」を踏まえて、ICT活用で目指すべき方向性をスローガンとしてグループでまとめた。海外での活用事例として、Google ClassroomとEdmodoを紹介し、3日間(レポート提出まで)活用するEdmodoに登録する作業まで行った。

(2日目)
第5回:情報モラル
 情報モラルが求められる背景を押さえた上で、あるトラブル事例について学んだ後、身近な事例を基に児童・生徒と何を考えるかを問うワークに取り組んだ。

第6回:メディアリテラシー(その1)
 メディアリテラシーの解説と「構成されたもの」を理解するためのワークに取り組んだ。

第7・8回:メディア・リテラシー(その2)
 午前に終わらなかったフェイクニュースに関する事例とそれといかに対抗するかについてのディスカッションを行った。
 メディア・リテラシー体験的に理解するため、「メディアタイムス」を視聴した上で、グループでスマホを活用した映像制作に取り組んだ。各班とも制作時間が短いながら創意工夫に溢れる作品を作ってくれた。

第9回:プログラミング教育
 学習指導要領に示された内容を紹介しながら、プログラミング教育で求められるものを確認した。これは翌日午前中実践するプログラミングの導入に当たるものである。プログラミングのイメージを持ってもらうため「Why!?プログラミング」の初回を試聴した。

(3日目)
第10・11回:プログラミングの実践
 有志にノートパソコンを持参してもらい、ペアでScratchを活用したプログラミングの実践を行った。なお、ネット環境が悪いため事前にScratch Desktopをインストールしてきてもらった。
 前日にWhy!?プログラミングでイメージを持ってもらっていたので簡単な解説だけ例示して、70分間ペアで様々な可能性を追究してもらった。各ペアとも表現したいことに対してどのような指示を与えればよいか等正に試行錯誤しながら取り組んでいた。
 その後、前半・後半に分かれて、各ペアがどのような作品を作ったかの共有タイムを実施。それぞれの持ち味がある作品ができていた。
 最後に、リンダ・リウカスのTEDのプレゼンを視聴し、創造のためのプログラミングについて改めて確認した(学校現場で広がりつつある方向への批判的提示)。

第12回:ゲームと学習
 ゲームを通しての学習可能性を確認した上で、過去に遊んだことがあるゲームをその視点で検討してもらった。学習可能性のあるゲーム(『デジタル社会の学びのかたち』より)を紹介した上で、教育向けゲームについて紹介した。ただ、Minecraftについて事前のイメージづくりができていなかったので、海外の取り組みを見た時、ポイントがあまり伝わっていなかった。
 最後に、MacgonigalのTEDのプレゼンを視聴した上で、社会的な(または教科の)問題解決を行うためのゲームはどのようなものが考えられるかをグループで検討した。

第13回:ネットワークが変える教育のあり方
 Khan AcademyやMOOCsについて解説した上で、インターネットの配信動画による学習の可能性と課題についてあるテーマを設定し、グループでディスカッションしてもらった。

第14回:21世紀型スキル
 21世紀型スキルを紹介した上で、これまで学んできた内容を踏まえた上で、児童・生徒にどのような知識やスキルを身につけるべきか、そしてどのような環境やツールを保障すべきかをグループで検討してもらった。

 3日間の振り返りでは心身共に疲れたというコメントがわずがにあったものの、充実した3日間になったというコメントが多く見られた(通常の授業も含めてこういう形式の授業があまりないとのコメントもそれなりに見られた)。
 毎回ワークシートを記録して、次の時間に伝えるコメントを考えたり、準備のために深夜までかかったりしてなかなか大変だったが、コメントを総合すると受講者としても受けた価値があったようだったので何よりである。

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