(2023.08.13) カリキュラム研究会

 8/13に大阪教育大学天王寺キャンパスでカリキュラム研究会が開催された。
 2011年頃から定期的に開催されていたが、しばらく中断していた研究会となる。
 13時から17時まで各人が「カリキュラム」をテーマとする話題を持ち寄り、発表・議論を行った。最も多かったのが、学部・大学院における実践報告であった。その他にも学習指導要領を巡る議論、カリキュラム・マネジメントに関する教員研修、教職大学院の実務家教員の研究力量を向上させるプログラム開発などのテーマがあった。

 私は、「教員志望学生のカリキュラム開発力量を向上させるための『総合的な学習の時間指導法』の提案」と題して授業の取り組みを紹介した(参考:シラバス)。戦前からの総合学習の歴史を踏まえつつ、総合的な学習の時間が導入され、その後様々な議論があったことを授業では押さえている。総合的な学習の時間の指導案を作成するにあたって、米国の『PBL』をモデルに具体的なプロセスを学習している。もちろん、それと日本の実践とを接続するために、好事例の紹介、実践者による講演を盛り込んでいる。質疑では、「PBL」のプロセスを全面的に押し出すことについて、実践を創造する「楽しさ」を体験できる内容になっているかどうかのご意見も頂いた。

  「教育課程論」はどうあるべきか、カリキュラム・マネジメントの研修をどのように進めていくか、等様々な視点で考えることができた研究会であった。

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(2023.08.07) しまだい学校教員研修「教育評価の新たな地平」

 教員免許状更新講習の後継講習として、今年度より「しまだい学校教員研修」がスタートした。島根県、鳥取県両県の教員については、研修情報システム(研修履歴の管理)に登録されるものである。
 8/7の午前・午後と山陰教員研修センターにて、「教育評価の新たな地平」の講習を担当した。「教育評価の新たな地平」については、2013年度から継続的に開講してきたプログラムである。オンデマンド受講期間もあり、内容をリニューアルしながら現在の形に整理してきた。主な講習内容は以下の通りである。

1コマ:教育評価の意義と教育評価の歴史的変遷
 そもそも教育評価とは何かを確認した上で、何のために評価を行うのか、相対評価と絶対評価の考えたを説明した。その視点をもって、戦後から現在に至るまでの社会事象や教育として期待されていたものが評価に大きな影響を与えてきたことを概説した。

2コマ:評価方法の多様性①
 評価をデザインする視点として、5W1Hを取り上げた。6つの視点について丁寧に確認しつつ、診断的評価における「レディネス」の把握をどう工夫するか、校外学習において事前にどのようなしかけをすることによってより意味ある評価になるかをグループで検討してもらった。

3コマ:評価方法の多様性②
 評価方法に関する視点として「真正の評価」の登場背景とそこで目指されたものについて概説した。日本では、「真正」についての議論よりも方法としてのポートフォリオ評価やパフォーマンス評価が積極的に受容されてきたことを押さえた上で、それぞれのポイントについて確認した。パフォーマンスを評価するためのアプローチとして、ルーブリックを取り上げ、ある生徒のプレゼンを視聴した後、生徒が自己改善できるためのルーブリックをグループで考案してもらった。

4コマ:新しい学習指導要領における評価のあり方/諸外国における評価のあり方
 各国の教育改革、新しい学習指導要領の方向性を確認し、その議論が2017年学習指導要領改訂に影響を与えてきたことを押さえた。特にカリキュラム・マネジメントにおいて「評価」が重要になることを紹介してから、「対話的な学び」を学校全体で推進するための評価計画のあり方について議論する活動に取り組んだ。
 最後に、諸外国では「真正の評価」を前提として、学校全体のカリキュラムが大きく変わってきたHigh Tech Highの事例等を紹介しつつ、指導と評価の総合的な変革が今後も求められることを提案し締めくくった。

 残念ながら、他の講習と重なってか計6名と少ない受講者だった。人数は少なかったが、充実した内容にはなっただろう。多くの受講者はポジティブなコメントを頂いたが、あまりにギャップが大きいというコメントも頂いた。ただ、この基本がなかなかできていない現場が多いので、学ぶ機会は保障せねばならないと考えている。

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(2023.08.01) オープンキャンパス

 8/1-3の3日間にわたってオープンキャンパスが開催された。教育学部は8/1の開催となった。
 昨年度と同様、午前、午後の同一内容2回開催で、事前申込制の形が取られた。教育学部は、それぞれ150名が定員だったが、7月後半には予約定員になったため申込が締め切られた。
 30分程度、学部長挨拶、教育学部のカリキュラムの特色、入試の概要を紹介する全体会の後、約50分程度各専攻に分かれて専攻での取り組みや学生の学びについて知るという2部構成で運営された。全体会では、教務・学生支援委員会委員長として、学部のカリキュラムの特色について15分プレゼンをした。グローバル教育等、他大学にはない魅力的なものもあるため、それらが伝わるように心がけた。
 今回のオープンキャンパスによって受験生の選択肢の1つとなってもらうことを心から願っている。

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(2023.07.27-28)教育職員免許法認定講習

 7/27と7/28にテクノアークしまねにて教育職員免許法認定講習「教育課程の意義及び編成の方法」計8コマ分を担当した。高校籍の方が多かったが、保育所・小学校・中学校と合わせて12名が受講した。9名が県外の方であり、最も遠方からは青森県の方が受講して頂いた。
 学部の「教育課程論」と大学院の複数科目で扱ってきた内容を再編成して以下の2日間の主な内容を構成した。

(第1日目)
第1回 教育課程とカリキュラム
第2回 カリキュラム開発の理論
第3回 教育課程と学習評価
第4回 真正の評価とパフォーマンス評価

(第2日目)
第5回 学校間接続
第6回 総合的な学習/探究の時間のカリキュラム開発
第7回 キャリア教育のカリキュラム開発
第8回 カリキュラム・マネジメントの理論と実践

 毎時間ペアワークやグループワークを取り入れながら展開していったが、受講者全員が積極的に取り組んでくれたため非常に充実した2日間となった。
 さらに1日で取り組める内容にしてしまだい学校教員研修で提供していく方向でも今後考えていきたい。

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(2023.07.07) 附属後期課程未来創造科の授業実践

 7/7に附属後期課程7年生で授業実践を行った。公民館での実地調査が本格的にスタートするが、その準備として取り組むものであった。どうしても出席しなければならない会議があったため、9時から会議室をお借りし、その後2校時から5校時まで各クラスを回って授業を行った。
 実地調査においては、現地でしか得られない情報をいかに得るかが最も重要であることを確認した上で、インタビューについてのポイントをNHK for Schoolの「プロのプロセス」の番組視聴を通して学んでもらった。それを踏まえた簡単なクイズを出題し、インタビューとしてのポイントを確認した上で、グループ活動ではこれまで考えたインタビュー内容を再検討してもらった。
 今年度も1日まとめての実践となり慌ただしくなったが、実地調査に向けて具体的な手がかりを伝えることができたので、よりよい実地調査につながるだろう。

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(2023.07.06) 附属前期課程学校訪問

 ミャンマーからの海外研修生に日本の学校を知ってもらうための取り組みとして、7/6の午後から附属前期課程の学校訪問を行った。
 13時半から主幹教諭の先生と施設見学を行った。プールや体育館、給食の調理場等、ミャンマーにはほとんど見られない施設について色々確認できた。また、低学年が生活科で栽培を行うこと等も現地にはない実践のようだった。
 その後、5校時には1年生から6年生の各クラスを回って、授業の進め方や教材の活用について学んでもらった。その後、大学に戻ってから約1時間、学校訪問について色々な観点でディスカッションを行うことができた。

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(2023.06.28) ディプロマポリシー改訂に関する学部説明会

 全学の中期目標・中期計画に来年度からアドミッションポリシー(AP)、ディプロマポリシー(DP)、カリキュラムポリシー(CP)が方向性として示されており、2022年度からカリキュラム検討ワーキンググループにおいて特にDPの改訂について議論を進めてきた。
 島根大学教育学部では、2004年の組織改編において「1000時間体験学修」「面接道場」といった新しい取り組みをスタートしたが、その一環として「教師力10の軸」の策定と「プロファイルシート」の開発が行われた。この「教師力10の軸」が現在のDPとなっており、それを大きく見直すという大がかりな作業に着手することになったのである。
 カリキュラム検討ワーキンググループは、私をリーダーとして、香川奈緒美准教授、塩津英樹准教授、篠村恭子講師の4名で構成され、2022年の7月より7回の会議を開催し、様々な観点で議論を行ってきた。
 全学への提出期限が8月と定められており、6月の主任会、教授会で提案を行い、7月の主任会、教授会で最終決定を図ることになった。6/28の学部説明会は、教授会では限られた時間となるため、構成員に対してより丁寧に趣旨を説明し、議論を行いたいということから設定されたものである。
 参加人数は思った以上に少なかったが、出席者からはそれぞれの内容について、今後のDPのカリキュラムにおける具体化についてご意見を頂くことができた。
 この詳細については、今年度開催される日本教師教育学会において発表する予定であるので、関心のある方は是非そこで聞いて頂きたい。

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(2023.06.27) 島根県教育センター情報交換会

 6/27の13時から15時半まで島根県教育センター情報交換会が島根県教育センターで開催された。協議題として、大学側からはしまだい学校教員研修や現職教員研修について、教育センターからは教職員の育成指標の改訂と新研修体制・研修情報システムについての情報交換がなされた。その他、教員不足への対応、若手教員の育成・支援についても、大学と教育センターから複数の提案が確認された。

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(2023.06.25) 総合的な学習の時間指導法・ゲストティーチャーによる講義

 6/25の13:00-14:40に「総合的な学習の時間指導法」の授業をZoomの同期型で行った。本時は、三浦先生@プラハ日本人学校をゲストティーチャーとしてお招きした。三浦先生とは、2019年度の現地開催、2021年度と2年おきにお世話になっているが、今年度は日本人学校での勤務という海外で働くというイメージを持ってもらうねらいもあって講義をご担当頂いた。
 総合的な学習の時間の実践に関しては、前勤務校の手柄小学校との遠隔交流に関するものを紹介して頂いた。現地キャスターとしてプラハの街並みを紹介する動画からモチベーションを高める工夫や、演劇に力を入れているプラハ日本人学校での実践を活かした取り組み等、非常に参考になる話題提供であった。
 最後に総合的な学習の時間を創造的に臨むための実践者のマインド、学び続けるため教師となるための原点について、私から三浦先生に対談的に伺った。自分自身が心が動く経験やチャレンジしたいことが先立つことが大事であり、まずそういう機会に関わってみること、やりたいというコアになる部分は絶対に手放さないこと等を実践者の生の声として聞けたことは非常に大きな機会だった。
 貴重な機会を頂いた三浦先生には心から感謝している。

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(2023.06.15) 附属後期課程7年生未来創造科での授業実践

 6/15の午前中1-4校時において、附属後期課程7年生の未来創造科で4クラス授業を担当した。
 冒頭、研究者が行っている研究と未来創造科における探究との共通点を確認した上で、研究としての問いの立て方の例として学校を例に具体例を紹介した。それを踏まえて、今後探究するテーマの問いについてJamboardで個人で書き出した上で、それらをグループで共有するワークに取り組んだ(このパートは附属の先生がコーディネート)。
 最後に探究を進める上で不可欠となる、情報収集としての文献・インターネット、フィールド調査、アンケート調査のパターンを紹介した上で、インターネット検索にあたってのポイントを生徒と共に確認していった。
 7月にはフィールド調査に必要となる、インタビューや観察のポイントを行う実践を予定している。

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